育成就労制度とは?技能実習との違いや企業への影響を分かりやすく解説
8月5日
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令和8年(2026年)1月23日、政府は、特定技能制度および育成就労制度に関する「分野別運用方針」を閣議決定しました。育成就労制度は、これまでの技能実習制度に代わり、外国人材を原則3年間の就労を通じて育成し、特定技能1号の水準まで技能を高めることを目指す新しい制度です。
技能実習制度からは、制度の目的や対象分野、転籍の仕組み、企業に求められる育成・支援体制などが大きく変わります。そのため、現在技能実習生を受け入れている企業だけでなく、今後、外国人採用を検討している企業にとっても、早めに制度の内容を理解しておくことが重要です。
本記事では、育成就労制度の基本的な仕組みや技能実習制度との違い、2026年1月に閣議決定された分野別運用方針、受入れ企業が今から準備しておきたいポイントを分かりやすく解説します。
< 目次 >
1. 育成就労制度とは?なぜ新しい制度が創設されるの?

近年、日本では少子高齢化の影響により、多くの業界で深刻な人手不足が続いています。
特に、建設業・製造業・介護業などでは、外国人材は企業を支える重要な存在となっています。
これまで外国人材の受入れ制度として活用されてきたのが技能実習制度です。
しかし、技能実習制度の目的と実際の運用との間に課題があることなどから見直しが進められ、新たに創設されるのが「育成就労制度」です。
令和8年(2026年)1月23日には、政府が育成就労制度に関する「分野別運用方針」を閣議決定し、制度の具体的な運用方針が示されました。
育成就労制度の目的
育成就労制度は、外国人材を原則3年間の就労を通じて育成し、特定技能1号へ円滑に移行できる人材を育てることを目的としています。
これまでの技能実習制度と比べると、制度の目的は次のように変わります。
制度 | 目的 |
技能実習制度 | 開発途上地域等の経済発展を担う「人づくり」への協力による国際貢献 |
育成就労制度 | 人手不足分野における外国人材の育成(特定技能1号水準の技能)と人材確保 |
つまり、外国人材を「一定期間だけ働く人材」ではなく、
「長く活躍できる人材」として育成する制度へ大きく方向転換したことが特徴です。
なぜ新しい制度が必要になったの?
育成就労制度が創設された背景には、主に次の3つがあります。
深刻化する人手不足
建設業や製造業、介護業などでは、人材不足が年々深刻になっています。企業が安定して事業を継続するためには、外国人材の受入れがこれまで以上に重要になっています。
技能実習制度の課題
技能実習制度は「国際貢献」を目的としていましたが、実際には日本国内の人材不足を補う役割も担っていました。この制度目的と実態の違いが、制度見直しの背景の一つとなっています。
特定技能制度へつなげるため
育成就労制度では、外国人材が働きながら技能や日本語能力を身につけ、特定技能1号への移行を目指すことが前提となっています。
そのため、企業にも「採用して終わり」ではなく、育成・教育・定着までを見据えた受入れ体制がこれまで以上に求められるようになります。
POINT
育成就労制度は、外国人材を一時的な労働力として受け入れる制度ではありません。外国人材を育成し、企業とともに長く成長していくことを目的とした新しい制度であることが、技能実習制度との最も大きな違いです。
2. 育成就労制度と技能実習制度の違いを比較
育成就労制度は、技能実習制度をそのまま引き継ぐ制度ではありません。
制度の目的や受入れ方法、外国人材の育成の考え方など、多くの点で見直しが行われています。
まずは、主な違いを一覧で見てみましょう。

一見すると似ている制度に見えますが、企業にとって特に押さえておきたい変更点は次の3つです。
制度の目的が「国際貢献」から「人材育成・人材確保」へ
技能実習制度では、「日本で学んだ技能や技術を母国へ持ち帰り、その国の発展に役立ててもらうこと」が制度の目的とされていました。
一方、育成就労制度では、外国人材を育成し、日本の産業を支える人材として活躍してもらうことが制度の目的として明確に位置付けられています。
そのため、企業には外国人材を受け入れるだけでなく、計画的に育成し、安心して働ける環境を整えることがこれまで以上に求められます。
特定技能1号への移行を前提とした制度へ
育成就労制度は、特定技能1号へ円滑に移行することを前提として設計されています。
外国人材は原則3年間の就労を通じて、業務に必要な技能や日本語能力を身につけ、一定の要件を満たすことで特定技能1号への移行を目指します。
つまり、育成就労制度は単独の制度ではなく、特定技能制度へつながる入口としての役割を担っています。
そのため、企業も「3年間だけ働いてもらう」という考え方ではなく、その後のキャリア形成まで見据えた育成が重要になります。
一定の条件を満たせば転籍が可能に
技能実習制度では、やむを得ない事情がある場合を除き、実習先を変更することは原則として認められていませんでした。
一方、育成就労制度では、一定の就労期間や技能・日本語能力などの要件を満たした場合に、本人の意向による転籍が認められる仕組みが導入されます。
ただし、「自由に転職できる制度」ではありません。
転籍には法律や運用方針で定められた条件を満たす必要があり、転籍先となる企業にも受入れ要件があります。
そのため、企業としては「転籍できるようになったから人材がすぐ辞めてしまう」と考えるのではなく、働きやすい職場づくりや適切な育成・コミュニケーションを通じて、人材の定着につなげることがこれまで以上に重要になります。
※ 一定の条件とは…
・同じ業務区分内での転籍であること
・分野ごとに定められた転籍制限期間を超えていること
・一定水準の技能と日本語能力を有していること
・転籍先が所定の受入れ要件を満たしていること
POINT
育成就労制度は、技能実習制度を単純に名称変更した制度ではありません。制度の目的が「人材育成」と「人材確保」に変わり、特定技能制度との連携が強化されたことが最大の特徴です。外国人材を採用する企業にとっても、「採用する」だけでなく、「育てて定着してもらう」という視点が、これまで以上に重要な時代になっていくでしょう。
3. 育成就労制度で企業に求められること
育成就労制度では、外国人材を受け入れる企業の役割も大きく変わります。
技能実習制度でも実習計画に基づいた指導は行われていましたが、育成就労制度では「外国人材を育成し、特定技能1号へつなげること」が制度の目的となるため、企業にはこれまで以上に計画的な育成や職場環境づくりが求められます。
ここでは、受入れ企業が特に意識しておきたいポイントをご紹介します。
育成計画に沿った指導と教育
育成就労制度では、外国人材が3年間で必要な技能や知識を身につけられるよう、育成就労計画に基づいた教育や指導を行うことが前提となります。
単に現場で作業を任せるだけではなく、
業務に必要な技能を段階的に習得できているか
安全教育や作業手順を適切に指導しているか
将来的な特定技能1号への移行を見据えた育成ができているか
といった視点が重要になります。
特に建設業や製造業では、実務経験を積みながら技能を高めていくため、現場全体で育成を支える体制づくりが求められます。
日本語能力の向上を支援
外国人材が職場で安心して働くためには、業務に必要な技能だけでなく、日本語能力の向上も欠かせません。育成就労制度では、日本語能力も重要な要素の一つとして位置付けられています。
例えば、
作業指示を正確に理解できる
危険箇所を理解し、安全に作業できる
報告・連絡・相談(報連相)ができる
といったことは、日々の業務だけでなく、労働災害の防止にもつながります。
そのため、日本語学習の機会を設けたり、やさしい日本語を活用したりするなど、企業側のサポートも重要になるでしょう。
安心して働ける職場環境を整える
育成就労制度では、外国人材が長く活躍できるよう、適切な雇用管理や相談体制の整備も重要になります。
例えば、
労働条件を分かりやすく説明する
困りごとを相談できる環境をつくる
ハラスメント防止や安全衛生教育を徹底する
日本での生活に関する相談にも適切に対応する
など、仕事だけでなく生活面も含めた支援が、人材の定着につながります。
「採用」ではなく「定着」を意識する
育成就労制度では、一定の要件を満たした場合に本人の意向による転籍が認められる仕組みが導入されます。
そのため、「採用すれば終わり」という考え方ではなく、外国人材に「この会社で長く働きたい」と思ってもらえる職場づくりがこれまで以上に重要になります。
例えば、
定期的な面談を実施する
キャリアアップの目標を共有する
頑張りを適切に評価する
日本人社員とのコミュニケーションを促進する
といった取り組みは、外国人材の安心感やモチベーションの向上につながります。
自社が育成就労制度の対象分野か確認する
育成就労制度は、すべての業種で外国人材を受け入れられる制度ではありません。
受入れができるのは、特定技能制度の対象分野のうち、3年間の就労による人材育成になじむ分野とされています。
2026年1月に閣議決定された分野別運用方針では、次の16分野が対象とされています。
介護
ビルクリーニング
工業製品製造業
建設
造船・舶用工業
自動車整備
航空
宿泊
自動車運送業
鉄道
農業
漁業
飲食料品製造業
外食業
林業
木材産業
ただし、分野によって受入れ要件や従事できる業務区分、必要な育成内容などは異なります。
そのため、「建設業だから受け入れられる」「製造業だから対象になる」と判断するのではなく、自社が該当する業務区分や受入れ要件を事前に確認することが重要です。
POINT
育成就労制度では、外国人材を受け入れるだけではなく、技能・日本語能力の育成、相談体制の整備、適切な労働環境づくり、定着支援までを企業が一体的に考えることが重要です。特に、育成就労制度は特定技能1号への移行を見据えた制度であるため、企業には「採用する」から「育てて長く活躍してもらう」へ意識を変えることが求められます。制度開始後に慌てないためにも、今のうちから育成担当者の選定や日本語学習の支援方法、相談窓口、評価制度などを整理しておくことが大切です。
4. 制度開始に向けて企業が今から準備しておくべきこと
結局企業は何を準備すれば良いの?となりますよね。
最後に、企業が事前に確認しておきたいポイントをチェックリスト形式でご紹介します。
✔ チェックリスト
□ 自社が育成就労制度の対象分野・業務区分か確認した
□ 外国人材を育成する教育担当者・社内体制を決めた
□ 日本語教育や生活支援の方法を検討した
□ 監理支援機関との連携体制を確認した
□ 特定技能1号へのキャリアプランを考えている



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